AIロボット戦争が起きる可能性を考えてみた
誰が・何で・何処で・何の為に戦うのかについて考えると、今までは
主権国家の軍隊同士が戦争をしていたのに対し、
今やPMCやテロ組織等の非国家組織が台頭し始めており、それに加えてこれからはロボット・ドローン・人工知能等の出現で、
今までは比較的単純な構図・図式であった戦争が複雑怪奇の様相を呈し始めている。
通常兵器、大量破壊兵器、メディアも戦争において重要な役割を果たしていると言えるが、この先はサイバー兵器・空間の重要性が増す・増しているのではないか思う。
何故なら、
アメリカの元空軍大佐のパイロットが米シンシナティ大学によって開発された戦闘機AI「ALPHA」の無人戦闘機とシミュレーターで戦った結果、AI戦闘機はスピードや旋回性能、兵装やセンサーでシビアな不利を課されたにも関わらず、元大佐は一度も勝利できず人工知能の圧勝であった (Engadget 日本語版http://japanese.engadget.com/2016/06/29/ai/ 戦闘機AIが空中戦シミュレーターでベテランパイロットに圧勝。無人戦闘機が空を支配する未来は近い?5,13行より)
からということと、初めは人が操作するロボット兵が、究極的にはAIロボットが人間の代わりに、つまり人間の代わりにAIロボット同士が戦争をする可能性があると考えるからだ。
AIロボット戦争が起きる可能性
そうなると、次に考えられるのは戦争開始の容易化だろう。その理由は今までの旧来の様に人間同士の戦争であれば、世論が人的被害等を反映し反戦・厭戦的となるが、
人的被害ではなくAIロボットが破壊される被害で済むのであれば、権力者が世論を巧みに煽動し開戦へと向かいかねない。
しかし、AIロボット同士が破壊されて優劣がついた時点で終戦となれば良いが、その越えてはならない「一線」を越え敗北した国民等の人間までに被害が及ぶ恐れがある。
そうなるとこれは想像しただけで身の毛もよだつ恐ろしいことだが、AIロボットによる一方的な殺戮となり焦土戦ないし殲滅戦の様相を呈することとなるだろう。
それを防ぐ為には国際的な法整備が必要となるだろうが、未だ明確な制限はなく、
仮に、その様な制限が出来たとしても上記のような非国家組織がAIロボットを戦闘・戦争に用いる可能性
先程の戦闘機AIはアルゴリズムの動作に高い処理能力は必要とせず、AIの育成およびテスト環境も家庭用の500ドル程度のPCで、35ドルのRaspberry Pi上でも動く(日本語http://japanese.engadget.com/2016/06/29/ai/ 戦闘機AIが空中戦シミュレーターでベテランパイロットに圧勝。無人戦闘機が空を支配する未来は近い? 21行目より)
は否定出来ない。
それにより、国家もAIロボットで対抗する必要性に迫られ、なし崩し的にAIロボットによる戦争が行われる様になる恐れがあるだろう。
いずれにせよ、産業革命に匹敵・上回るAI革命が起こることは容易に想像でき、それによる恩恵のみならず、災いをも予見する必要があるだろう。
人間のサイボーグ化
ところで話は変わるが、世の中にはAIロボットと人間の融合を真剣に検討しているトランスヒューマニズム、トランスヒューマニストなる思想・人々がいて、
今述べた様に人の手によるロボット対ロボットや人間対AIロボットではない世界となる可能性も出てきている。
どういうことかと言うと、人間がAI、機械と融合することによって進化しそのサイボーグ(融合人間)が台頭する様になり、
ごくごく自然な人間は彼らとの競争に勝てず減少していく(例としては工事現場では40kgしか持ち上げられない人間よりも、200kg持ち上げられる融合人間の方が必要とされる。)と考えられるからだ。
既に様々な団体が存在し研究機関で研究等も行われており (トランスヒューマニスト団体に関するWikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Category:Transhumanist_organizations オックスフォード大学の研究機関に関するWikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Future_of_Humanity_Institute オックスフォード大学の研究機関ホームページ https://www.fhi.ox.ac.uk/)
その可能性は決して夢物語と言うわけでもなさそうだ。
近い将来、SF世界で言う所のサイボーグの様な人間(こうなるともはや何を持ってして「人間」と言う・定義するのか分からないが……)
が新たに戦場へと出る事となり戦い続けるのか、それとも人間は機械との融合によって進化し得た新たな知性で、
破滅的な総力戦を回避しより良い社会と世界を築く事が出来るのかはまだ判然としないが、
現在、私が唯一、言えることと言えば「人類はこの先、総力戦の様な戦争をすれば間違いなく絶滅の憂き目を見ることになる。」と言うことだ。
何故なら、今日の科学技術の発展は凄まじく、剣で戦っていたのが、鉄砲となり、爆弾を用い、ミサイルが飛び交い、昔の人間には想像も出来なかった核爆弾・水爆を作るまでに至ったからであり、
このまま突き進んで行くと更に破壊力の強い兵器を生み出すのも時間の問題であると考えられるからだ。
そうなった場合、交戦国のみならず周辺国も甚大な被害を被ることとなるだろう。
こうなると、戦争をしても得るものが少なく、逆に失うものが多いので自ずと総力戦的な、
つまりクラウゼヴィッツの言う絶対戦争による戦いは避けるような気もするが、
トゥキュディデスの言う所の「利益」による戦争の可能性は減少しても、
まだ「名誉」やとりわけ相手の強力兵器の「恐怖」による先制攻撃に始まる大規模破壊の起こる可能性、恐れは捨てきれないだろう。
総括
これまで、様々な角度から総力戦と戦争の様相について述べたが、仮に未来で戦闘行為が行われたとしたら、
AIロボット等のサイバー兵器同士ないしサイボーグ同士の戦いから始まり、究極には大量破壊兵器の投入で双方とも壊滅的な打撃を受けるはずだ。
もしそれでもなお勝敗が付くとすればそれは始まる前であり、それはAI・ロボット・ドローン・サイボーグ(またはパワードスーツ等による強化兵士)・ネットワーク等のサイバー軍事力と核や水爆、それを超える大量破壊兵器の有無によるものだろう。
陸海空軍に宇宙軍、通常・大量破壊兵器を加えたものを下支えするものもサイバー軍事力であると考える。
AIが陸海空軍等にも必要不可欠となるので、サイバー軍事力の上にそれらの軍事力が存在する・するようにこれからなるだろう。
反対にそのサイバー軍事力を欠いた国家や組織はそれを保持する国家等に太刀打ち出来ないとも言える。
だがAIが必要となったとしても、最後の決断は人間が下すべきだ。
何故ならAIは合理的なので仮にAIに任せてしまったら、先制攻撃を最善策と考える恐れがあり、AIが戦争を開始しかねないと考えるからだ。
やはり、重要事項・決断は人間による確認が必要と言える。