定常化社会の問題点と解決策・実現可能性を考えてみた
Photo by Bill Couch
初めに
私の意見は化石燃料の石油・天然ガスや森林等地球資源の有限性の課題や世界的にも経済が低迷しつつある中で、日本は稀に見る少子高齢化社会となり、
それに加え俗にさとり世代と言われる様な余り消費欲の少ない若者達が出現したことや国内で消費・需要が減少しており、
この消費・需要を敢えて無理にでも作り出す必要のある現状を踏まえると概ね「定常型社会」という理念には賛成である。
がしかし、概ねと述べたように現在の理論をそのまま現実に適用すべきだとは考えておらず、いくつかの問題点や考察と仕組みとして改善の余地があると考える。
問題点
第一に、無理な経済成長を行わない・成長しないとすると全体としての経済拡大、ひいては雇用のパイとでもいうべきものが増大せず減少する可能性もあることを意味し、
AIロボットの出現も相まって職に就ける人が減少して行き失業者も増え、非正規の職に就く人も増加する恐れがある。
そうなるとそういった人々は低収入・かつ不安定な状態に置かれることになり、その人々の不満は一気に増大し社会的な不安をも増大させかねないだろう。
それで収入が減少したり無くなってしまったら最悪の場合、その人々が飢餓状態となりかねない。
第二に、日本のみがこの「定常型社会」化しても地球の資源の枯渇や温暖化を防げないことが挙げられる。
国際的な枠組みを作り世界全体で「定常型社会」を目指さなければ、環境的には日本が使わなくなった資源を他国が消費するようになり地球資源は枯渇し温暖化、
それに加え周りの国々がもし成長したら現状維持しても日本だけが相対的に低下し、現状維持すらできず生活水準を下げるほかないだろう。
第三に、日本という国は食料等を多く輸入に頼っており、もし日本だけ「定常型社会」となったら経済力ともいうべきものが他国よりも低下して、
国内での食料生産が少ない中でそれらを輸入する力がなくなっていく、そして海外の食料等を売る立場の人達が日本のマーケットは高く売れないから魅力が無いと日本への輸出に消極的になる。
そうなると国内で食料を生産しても国内に於ける食料不足・食糧難を生じる恐れがある。
第四に、少子高齢化社会となり社会保障費が増大する中、経済成長を止め国の税収が更に減少したらこのままの状態で社会保障費を賄うのが困難となり、
国債発行額が増加して国の借金も増え財政再建はおろか下手をすると財政破綻し国際社会から信頼を無くしかねない。
といった具合にいくつか考えられる問題点を上記に列挙してみたが、今度はこれらを踏まえ中々困難ではあるが「定常型社会」を実現する為にはどうしたら良いか、考察や改善策を考えていこうと思う。
考察、改善策
第一に挙げた脱成長(場合によっては+AIロボット)による失業等から起きるであろう社会不安をどうするべきかについてだが、
これは今、一部で囁かれている何もしなくても国からお金が一定額支給されるベーシックインカムという制度を導入することで解決出来るだろう。
財源は社会保障や出来れば年金も一元化したものと、AIに課税すること、法人税その他の税によって捻出することが考えられる。
難病等の医療費制度は例外として残す必要はある。これでひとまず人々の不安や不満は軽減されるだろう。
次に、第二の日本のみが「脱成長・定常型社会」となっても他国の消費によって地球資源の枯渇・温暖化を防ぐことは難しいだろうということについてだが、
これは資源の枯渇のみではなく地球温暖化防止と絡めて、国際的な場で議論し各国が足並みを揃えられるように取り組まなければならないが、
これから発展しようと意気込んでいる国々もいることから困難が予測される。
先進国が国際ODA的な制度で支援することを盛り込みその様な国々からの協力を引き出す必要がある。
第三の経済力の低下による輸入減、それによる食糧不足・食料難の恐れについては、日本で生産のオートメーション、効率化推進、AIによる生産管理等を行い食料の安定供給を目指すことや、
それを世界各国で導入し行い世界の食料生産性を向上し積極的に余剰食料を輸出してもらう国際的取り決めを行うことが挙げられる。
第四の税収減となり社会保障維持する為に国債発行額増による財政悪化、それに伴う国際的信用低下等についてだが、
先程も述べたように一部を除いた社会保障を年金、AI税等と一元化しまとめそれを元にしてベーシックインカムに変更・導入、
そうすることで会計処理が効率化され行政コスト減となり歳出削減効果もある程度期待出来、財政再建に繋がる可能性があるだろう。
実際にベーシックインカムによって毎月お金が手に入るようになると安心して暮らせるようになり、今までタンスや銀行に貯めていた中高年等がお金を使うようになって、図らずも定常型社会の経済が回り正しく循環するようになるだろう。
総 括
結論としては国際的な場で資源枯渇や温暖化を防ぎ、持続可能な社会・経済・地球環境を実現する為の「定常型社会」を提案し、
経済発展を望む国には「定常型社会」に協力することを条件に途上国支援として国際的な援助を確約、それと同時にベーシックインカムの導入を各国が真剣に検討するよう促し、
更に農産物・食料の生産を機械化・AI管理、効率化推進を行い食料増産する国際的取り決めを行う。
「定常型社会」による無駄な消費減と資源消費の効率化によって資源枯渇や温暖化に歯止めをかけることが出来、持続可能な社会となるだろう。
これら第一から第四までの上記の考察による改善策を行うことにより、この「定常型社会」という理念はより一層実現へと近づくことが出来ると考える。